* 徒然なる言の葉


  紫貴 洸の紡ぐ想い。




 >> 古のしらべ
10月27日 水曜日
この身体の中にある

魂の螺旋を孤独の中で感じていた

全ては孤独なのに

全ては儚いのに

どうして僕たちは気付かないんだろう

蝉時雨に濡れた巨大な大木は

慄然とする思惑の静けさで

銀河を渡る星の旅人を見上げていた

僕たちは待っていた

気怠い午後に黄金に輝く麦穂を眺め

ゲゼルシャフトに別れを告げて

当て所なく彷徨うその先にある

光彩陸離のこの広い世界に

いつか訪れるかもしれない希望の羽を

淡く切ない秋の実を抱きしめて

冷めることのない夢を見ていた

■■■■■
2004年作品

久し振りに詩を書いてみた。
『化学』について考えてみた。
Diary No.64




 >> 天葬
2月25日 木曜日
天高く舞い上がる鳥の呼気

それは希望に向かう風

放たれた自由の矛先

ある者は逝った

老獪なる我が肉体の死滅は

けして幻ではあるまいと

天空に舞い上がる翼に

あのどれか一羽となって甦るのなら

希望の潰えた未来でさえも

遠く霞む山頂に陽光が燈るように

それを見届けるために飛翔するだろう

ある者の想いを空に還すために

連綿と受け継がれていく

この厳かな儀式は

山頂に住まう孤高なる民の

潔い想いの終焉を彩っている

今日も何処か遠くで

気高きものの別れの声が

天高く響き渡り

誰かの胸に孤霊して

空に還って逝くのだろう

■■■■■
2004年作品
Diary No.63




 >> 心がいっぱいいっぱい
3月22日 土曜日
木漏れ日がキラキラして綺麗だね

君の笑顔が可愛くて

いつもの散歩道

ずっと後ろから見守っていたんだ

いつか きっといつか

離れてしまうことを知っているから

できるだけ好きにならずにいようと思ってた

でもやっぱり無理で

僕はもう 君にずっと恋焦がれているよ

君がくれるたくさんのアプローチに

本当は気付いていたけど

応えてしまうには僕は

本当に臆病で 情けない奴だから

ずっと気付かないふりをしていた

でも もうそろそろ

気付いていたよって

何気ない瞬間に呟いてみようか

君のことが もうずっと

本当は好きだったよ

大好きだったんだよ

離れてしまう

その時がくるまでずっと

傍にいよう

僕たちのこの出逢いが奇跡だとしたら

それはとても素敵なことだから

きっと君に告白しよう

ずっと傍にいて欲しいから

■■■■■
2003年作品
Diary No.62




 >> ある愛のための物語
3月22日 土曜日
真夜中に浮かぶ月が

青白く輝いてしまうのは

何処か遠くに行ってしまった

太陽に思いを寄せているから


太陽が恋する季節に

月は小さな傷を作って

傷心に泣いていたから

クレーターの傷痕が寂しいね


貴方を思う僕の心が

どこか息苦しくて泣きたくなる

この想いが

切なくて仕方なかった


巡る季節が痛みをともなう春

冬のように冴え渡る月が

絆を絶ち切る予感に

僕が怯えていたと

あの太陽に伝えて


蹲る僕の影が

陽炎に揺れる季節

貴方を想う心が

消えてしまう星空

■■■■■
2003年作品
Diary No.61




 >> 春の街
3月8日 土曜日
滲むように飛ぶ鳥たちが
灰色の空に消えていく
肌寒いここは春の街で
風が強くて寂しかった

冬が通り過ぎた街は
いつもの活気を取り戻して
懐かしい匂いを残していた

コートの襟を立ててみても
入り込んでくる隙間風は
何処から吹いてくるんだろう

旅人が足を留めて
束の間の休息を取る
そんなありふれた日常が
何故か色褪せて見えた

街中に匂いを残して
冬が通り過ぎたこの春の街で
僕は生きて行くんだろう

それが精一杯の
僕の強がりだった

■■■■■
2003年作品
Diary No.60




 >> 雨の日は海の傍
3月8日 土曜日
水平線が滲んでいく
雨の日の海岸線
あの日 僕たちが手放したもの
こんな風に虚しい気分になる為に
別れたわけじゃないのに

甘い記憶も 傍にいたいと思う願いも
半端なままで雨に消えていく
海岸線は全てが灰色で
時折覗く太陽の光が
僅かな期待みたいで情けなかった

水滴のように見える頬の雫が
まるで涙みたいだねって笑う僕
ひとりぼっちで歩く
いつもの散歩道が
今日はやけに遠い

あれからずっと
僕はひとりぼっちで
もうずっと たった独りで
この海岸線を歩いている

たまに見る雨の日に散歩している人は
あの日の僕のように項垂れていて
灰色のコートが重そうだった

歩いて行くと言う行為は
何かを絶ち切る為でもあるし
独り無言で寂しさを海と共有する為でもある
誰も覗き込めない心を晒しながら
今日も僕は歩き続ける

この灰色の海岸線を

■■■■■
2003年作品
Diary No.59




 >> 無題
3月8日 土曜日
臭気が満ちた世界は酷く陰鬱で
風さえも威力を失っているようだ
戦の臭いは魔物を呼び寄せ
世界の破滅を予言する

海が色を失い
空に枯れた悲鳴が木霊する
声が出ない

助けてくれと慈悲を請う声
助けてくれるなと拒絶する声

渇きが満ちた世界に希望などない
全てが死の臭い
死の声
救いなどない

覚えておけ

■■■■■
2003年作品

実は、小説に挿入した詩だったけど。
本当はこの詩が先にできていた。
青龍さんが独立した詩としてアップしろって言ってくれた。
Diary No.58




 >> 思慕
2月28日 土曜日
あなたが猫背だったことを
私の双眸は覚えているよ
あなたの無器用そうな
その節くれ立った太い指先が
本当は凄く繊細に動くことを
私の記憶は覚えているよ

背中ばかり見せるあなたが
信念として抱き続けていた
あの思いを
私の胸は受け継いでいるよ
あなたが愛したあの女(ヒト)の
けして見せなかった涙を
私は鼓動で感じていたよ

飛んで行く渡り鳥が見せる
そのきっぱりとした後ろ姿は
そうして旅立つあなたたちに
良く似ていて不思議だった

かつて見た朝焼けのなかで
希望を信じるあなたのように
いつか私も
その光の中で立ち続けていられるように
過去と未来を見つめていよう

■■■■■
2003年作品

『日本WEB詩人会』主宰のネット詩コンクールに出してみた。
結果は…聞いちゃダメなんだよ。
Diary No.57




 >> 孤高
1月25日 土曜日
根雪さえも溶かしてしまう

あの熱いエナジーを

忘れたわけじゃないはずだから

もう一度 立ち上がれ

旅はまだ始まったばかりだ

背中を押してくれる

あの優しい腕はもうないけど

その行く先にはまだ

確かにあるはずだから

立ち止まるわけにはいかない

終わりを目指すこの旅は

きっと

その時から始まる

誰かの腕を求めるだけじゃなく

誰かに差し延べる腕があることを

思い出して

探しに行こう

何処かに置き忘れた

あの熱い鼓動を胸に還す為に

■■■■■
2003年作品
Diary No.56




 >> 魂の所在
9月9日 月曜日
心が哀しいと泣く度に
いつも
君の顔を思い出していた
そうでもしないと
僕の心は疲れて
ヘトヘトになって
哀しいことが哀しいと認識できなくなって
なぜかポッカリと笑ってしまうんだ

遠い所に行ってしまったね
いつかその場所に行くために
僕は必死に生きて
なぜか…
必死に死のうとしている

そう言う積み重ねが
こんな僕を包み込むのだとしたら
君にもう一度
出逢えるとき
ちゃんと泣けると思うんだ

胸がいっぱいになって
君の想い出がたくさんあって
こんな風にギュウギュウで苦しいのは
幸せなことなのかもしれないね

きっといつか…
もう一度回り逢えるのなら
魂の存在の不思議さを
肩を寄せ合って語り合おう

生きるために想い出があるのなら
今夜は魂を抱き締めて眠ろう
君の導かれたあの想い出の海

星が煌いて消えた
あの想い出の空…

■■■■■
2002年作品

『本能の所在』とペア。
Diary No.55




 >> 本能の所在
9月9日 月曜日
モノローグに霞む情景が
いつか見た想い出の空に似ていて
暫く見惚れていた

見慣れた風景の中で
幸福に満ち溢れた微笑みの
光に包まれたキミを見つけて
ボクはカラフルなキミに口付けた

ここにはいないって判ってるのに
寂しさとか
恋しさが降り積もって
胸の隙間が少しずつ埋まっていく

魂が共鳴して
惹かれあって傍らにいたのに
突然 消失してしまうのは
心が千切れるほどの
壮絶な苦しみだった

キミが…
『この世界中にいない』
その簡単なキーワードが
ボクを狂わせていく

蝕んでいく
現実の世界なんて
ボクには必要ない

暗い翳りを落とす
夕闇のボクの部屋で
膝を抱えて蹲る

黒い人影は誰?

ボクは暗く煌く双眸で闇を見つめていた

■■■■■
2002年作品

『魂の所在』とペア。
Diary No.54




 >> ソウルメイト
8月29日 木曜日
私が眠るこの場所に貴方が訪れることを願っています。

私は儚い小さな花のように。
貴方が与えてくれる愛の水脈を得て。
静かに咲き誇ることでしょう。

物陰の茂みで。
数多の美しい花々の中に落とされた。
小さな雑草のように。
私の存在は強くもあり。
誰にも気付かれないほど。
弱くもあるのでしょう。

貴方はそんな私の魂に気付いて。
微笑んだり。
優しい指先を伸ばして。
戯れに愛をくれるのかもしれません。

貴方が眠るその場所に私が咲き誇れることを願っています。

私はけして美しいわけではありませんが。
精一杯の強がりで。
貴方の前でだけは。
可憐な花を咲かせることでしょう。

小さく積み重ねた孤独の水滴を。
私の震える指先がたとえ零したとしても。
貴方の温かくて大きな両掌が受け止めてくれて。
悲しみを喜びに組み替えて。
私の上に優しく降らせてくれることでしょう。

そんな貴方の不在が。
今は私の魂を不安に震わせ。
凍りついた溜め息を零させています。
涙さえも凍りつくのかもしれません。

私と貴方が眠る場所が同じであることを願っています。

まるで叶わない希望なのかもしれません。
私は貴方の傍らで眠れることを願っています。
たとえ貴方がそれを疎んだとしても。
私は貴方が見つけ出してくれた儚くも強い雑草だったので。
寄り添いあう魂の片割れだと信じています。

この場所にいて。
貴方の訪れをきっと待ち続けることでしょう。
私は小さな花を咲かせる雑草なので。
引き抜かれてしまうかもしれませんが。
貴方の魂が。
私の魂を見つけ出してくれるその時まで。
今度は私が待ち続けることでしょう。

貴方の愛に護られた日々が。
私の幸福の日々でした。
私の愛が降り積もる日々が。
貴方の幸福の日々であったことを私は願っています。

■■■■■
2002年作品

亡き友に捧げます。
Diary No.53




 >> 告白の言葉のない…
7月27日 土曜日
恋をしよう
燃え上がる情熱のまま目蓋を閉じて
その人の哀しい顔を見ないように
恋をしよう
急速に萎えていく心を持て余して
その人の瞳から零れ落ちる涙のように
恋をしよう
全てを許せるように微笑んで
叶うことなら
その肩を抱いて慰められたらいいのに

泣き出しそうな心は
空を映し出した泉

何ができるんだろう…
追い詰められて逃げ惑う僕に
水面に片足を沈めて座れば
ここではない何処かで

額に触れた
舞い降りる天女の口付け

儚くて
儚くて…

恋をしよう
その人だけに秘密の
密やかな恋

哀しくて
辛くて…

でも届かない
そんな想いだけど
今は抱き締めて眠るから

恋をしよう
あなたのことが好きだと言えるように
努力しよう

あなたのことがとても

とても…

■■■■■
2002年作品

言いたいことって照れくさくてなかなか言えないよね。
Diary No.52




 >> 願い
7月27日 土曜日
ひっそりと肩を寄せ合って
密やかな吐息
交じり合う視線は
許しあえた者の証

今宵
太陽を抱いて眠れば
何もかも溶け合って
信じることができる

たとえ一夜の幻想でも
それが月だとしても
指先を伸ばして
試すようなことはしないから

きっと
待っていてね
追いつけるように努力するから
きっと
ずっと傍にいてね
叶わない夢が悪夢だなんて
思い込んだりはしないから

頬を摺り寄せて
できることなら
今宵一夜も
あなたを抱き締めて眠りたい

■■■■■
2002年作品
Diary No.51




 >> 春の頃の気持ち
4月17日 水曜日
一面の黄色
菜の花咲き乱れる頃
僕は想う
この一瞬の記憶

煙るような薄紅一面
咲き乱れる桜の頃
僕は想う
この胸の鼓動

色とりどりの全て
掻き混ぜて消える春
指の隙間をすり抜けて
どこへ行ってしまったんだろう

■■■■■
2002年作品

春の頃の気持ちは穏やかで優しくて。
少し切ないね。
Diary No.50




 >> さくら
4月17日 水曜日
薄紅の花弁を散らして

はらはら

春風が花弁を散らして

はらはら

見上げた空に飛行機雲

はらはら

星空が昨日のことを囁いています

はらはら

僕がここに生きることも
また真実なのだと
教え諭すように
春がそこにある

膝を抱えて見上げた

さくら

■■■■■
2002年作品
Diary No.49




 >> 独り善がりの言い訳
3月17日 日曜日
手当たり次第に言葉を投げかけないでよ
もう限界よ
胸だとか
身体だとかが溢れてるの

そんな目で見ないで
もう見ないで
限界なのよ
いろんなところが溢れてるの…

求めないで
何もあげられないの
放っておいて
悲しいぐらい溢れてるの

触らないで
これ以上心に触らないで
たくさんになっちゃう
あなたで溢れそうなの…

■■■■■
2002年作品

女心を書くのは難しい。
Diary No.48




 >> 深い眠り
3月17日 日曜日
長い長い孤独があった。

僕はそこから抜け出す為に足掻いてもがいていた。

願いが叶うことはなく。

悲しい夜を膝を抱えて蹲って過ごした。

時間が降り注ぐ永遠の闇のような世界で。

僕は星を見上げていた。

たったひとつだけ。

僕に与えられたその希望の星を。

ただひたすら見上げていた。

この絶望の底から助け出して欲しいと。

たったひとつの希望は。

この闇から抜け出せる。

死神の慈悲深く優しい。

その腕。

■■■■■
2002年作品
Diary No.47




 >> 無題4
3月10日 日曜日
こんなに遠くまで来ても

見つけ出すことができなかった…

探していた言葉が

やがて埃の内に埋もれたとしても

探し続けるのだろうか…



あてもないサイトの波に揺られながら



見つけ出してくれることを待つ

たったひとつの言葉を探して

いつか辿りつけるだろうか…

あなたの佇む



その場所に…



やがてわたしは

悠久の時のなか…

忘れ去られた言葉を求めて

旅立つことでしょう



あてもないネットの波に揺られながら



たゆたうように

いずれ見るはずの夢を

どこかに置き忘れて…

あなたのことを想うのでしょう

忘れていた…



あなたの言葉は見つかりましたか?

■■■■■
2002年作品
Diary No.46




 >> 夢
2月24日 日曜日
不思議な夢を見た

硝子細工の回廊を歩むような
心許無い足取り
万華鏡のように
くるくると回る壁画

一面は氷に覆われて
僕は唐突に
自分が孤立した錯覚に陥って
祈るように双眸を閉じた

ざわめくほど穏やかな無音の呼気
静かに降り積もるぬくもり
爽やかに離れてゆく思い
立ち止まる言葉

僕は不思議な夢を見た

それは、手探りで生きる
僕の心だった

■■■■■
2002年作品
Diary No.45







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